英検ガイド:級別のレベル感・必要な学習量・二次試験(面接)の準備
TOEIC と英検は、測っているものが違います。TOEIC はビジネス場面の聞く・読む、英検は4技能と語彙の深さ。どちらを受けるべきかは目的で決まります。この記事では、英検の級別のレベル感と必要な学習量、そして多くの人がつまずく二次試験(面接)の準備をまとめます。
英検と TOEIC の違い
| 英検 | TOEIC L&R | |
|---|---|---|
| 測るもの | 読む・聞く・書く・話す(4技能) | 聞く・読む(2技能) |
| 合否 | 合格・不合格がある | スコアのみ |
| 場面 | 社会問題・教育・環境など幅広い | ビジネス・日常 |
| 語彙 | 抽象的・アカデミック寄り | ビジネス実務寄り |
| 形式 | 級ごとに難易度が固定 | 難易度は一定。スコアで実力を表す |
| 向いている人 | 入試・進学、話す力も証明したい | 就職・昇進、企業での評価 |
大きな違いは話す・書くが含まれるかです。英検は二次試験で面接があり、ライティングもあります。「英語を使える」ことを総合的に示したいなら英検、企業で通用する数値がほしいなら TOEIC、という使い分けになります。
級別のレベル感
| 級 | 目安 | 語彙数の目安 | できること |
|---|---|---|---|
| 5級 | 中学初級 | 約600語 | 簡単な自己紹介、身の回りの単語 |
| 4級 | 中学中級 | 約1,300語 | 短い日常会話が理解できる |
| 3級 | 中学卒業 | 約2,100語 | 簡単な英文を読み書きできる。二次試験(面接)が始まる |
| 準2級 | 高校中級 | 約3,600語 | 日常的な話題について、まとまった内容を理解できる |
| 2級 | 高校卒業 | 約3,800〜5,100語 | 社会的な話題を扱える。大学入試で優遇されることが多い |
| 準1級 | 大学中級 | 約7,500〜9,000語 | 社会問題について意見を述べられる。ここから急に難しくなる |
| 1級 | 大学上級 | 約10,000〜15,000語 | 専門的な内容を理解し、議論できる |
語彙数は出典によって幅があり、あくまで目安です。ただ、2級から準1級の差がとくに大きいことは知っておいたほうがいいです。語彙数が1.5倍近くになり、扱われる話題も社会問題中心になります。ここで一度つまずく人が多いポイントです。
TOEIC スコアとのおおまかな対応
正確な換算式はありませんが、感覚をつかむための目安として。
| 英検 | TOEIC L&R の感覚的な目安 |
|---|---|
| 2級 | 550〜700 くらい |
| 準1級 | 750〜900 くらい |
| 1級 | 900以上 |
ただし測っているものが違うので、そのまま置き換えられるものではありません。TOEIC のスコアが高くても、英検の語彙問題やライティングで苦戦することはよくあります。逆もまた同じです。
合格に必要な学習量の考え方
「何時間やれば受かるか」は現在地によって変わるので、時間ではなくやるべき項目で考えます。
一次試験の構成
| セクション | 内容 | 対策の軸 |
|---|---|---|
| 語彙・文法 | 短文の穴埋め | 級別の単語帳を1冊。ここは知識勝負 |
| 読解 | 長文の内容一致 | 過去問。時間配分の練習 |
| ライティング | 意見を述べる英作文 | 型を覚える。ここが一番コスパがいい |
| リスニング | 会話・説明文 | 過去問の音声を繰り返し |
まずライティングから対策する
意外に思われるかもしれませんが、ライティングは配点が大きいわりに対策が効きます。型が決まっているからです。
- 意見を書く:I think that... / In my opinion...
- 理由を2つ挙げる:First, ... Second, ...
- それぞれに具体例や説明を1文足す
- 結論でもう一度意見を言う:For these reasons, I think...
この骨格は、どんなテーマが来ても使えます。あとはテーマに応じて中身を入れ替えるだけ。難しい単語を使う必要はありません。構成が明確で、理由が2つ書けていれば点になります。
語彙は「級別の単語帳」を1冊
英検の語彙問題は、範囲がはっきりしています。級ごとに出る単語が決まっているので、その級の単語帳を1冊やり切るのが最短です。汎用の単語帳よりずっと効率がいい(覚え方はこちら)。
覚え方は他の試験と同じで、間隔をあけて何度も出会うのが基本です。1日に大量に詰め込むより、毎日少しずつ、忘れかけたタイミングで復習するほうが残ります。
一次試験の時間配分
英検の一次試験は、リーディングとライティングが同じ時間内にあります。つまり自分で時間を配分しなければなりません。ここを設計せずに受けると、ライティングの時間が足りなくなります。
2級を例にすると、筆記は85分です。目安はこうなります。
| セクション | 内容 | 目安の時間 |
|---|---|---|
| 語彙・文法 | 短文の穴埋め | 15分 |
| 長文 | 読解 | 35分 |
| ライティング | 意見を書く英作文 | 25分 |
| 見直し | — | 10分 |
おすすめはライティングを先に書いてしまうことです。読解に時間を吸われてから書き始めると、構成を考える余裕がなくなります。ライティングは配点が大きいので、頭が疲れていない状態で処理したほうが得です。
語彙問題で粘らない
語彙問題は知っているかどうかだけなので、考えても出てきません。1問15秒で切り上げて、その時間を読解とライティングに回してください。TOEIC の Part5と同じ考え方です。
二次試験(面接)の準備
3級以上には面接があります。ここで緊張して実力が出せない人が多いので、準備の仕方を具体的に書きます。
試験の流れ
- 入室、あいさつ、面接カードを渡す
- 簡単な質問(名前、受験する級など)
- カードの英文を黙読 → 音読
- カードの内容についての質問
- イラストの描写(級による)
- カードを裏返して、受験者自身の意見を聞かれる
準備しておくべきこと
| 場面 | 準備 |
|---|---|
| 入室・あいさつ | Hello. / My name is ◯◯. / Nice to meet you. を口が勝手に動くまで |
| 音読 | 意味の切れ目で区切って読む練習。速く読む必要はない |
| 意見を言う | ライティングと同じ型(意見 → 理由2つ)を口頭で使えるようにする |
| 聞き取れないとき | Could you say that again, please? を言えるようにしておく |
沈黙をなくす表現
面接でいちばん減点されるのは、間違えることではなく黙ってしまうことです。考えている時間を声に出しましょう。
- Let me think for a second. — 少し考えさせてください(会話で沈黙しないための表現)
- That's a good question. — いい質問ですね
- Well, I would say... — そうですね、〜だと思います
意見に「正解」はない
面接官はあなたの意見が正しいかを見ていません。英語で理由をつけて説明できるかだけを見ています。
だから、答えやすいほうを選んでいいのです。「本当はこう思うけど、英語で説明しにくい」なら、説明しやすいほうの立場で答えて構いません。内容の深さより、構成の明確さが評価されます。
練習方法
- 過去問のカードを用意する
- 時間を測って、本番と同じように音読・回答する
- 自分の声を録音する
- 聞き返して、詰まった箇所・言えなかった表現を書き出す
- その表現だけ調べて、次回に使う
ひとりでも十分に練習できます。録音して聞き返す作業が、面接練習の代わりになります。
英検S-CBT という選択肢
従来型のほかに、コンピューターで受験する S-CBT という方式があります。
| 従来型 | S-CBT | |
|---|---|---|
| 試験日 | 年3回 | ほぼ毎週(会場による) |
| 試験の回数 | 一次と二次の2日 | 1日で4技能すべて |
| スピーキング | 面接官と対面 | パソコンに向かって録音 |
| ライティング | 手書き | タイピングまたは手書きを選べる |
対面の面接が苦手なら S-CBT が向いています。一方で、画面に向かって話すのが不自然に感じる人もいるので、どちらが楽かは人によります。
受験機会が多いのは大きな利点です。1回落ちても次がすぐ来るので、1回の受験にかかる精神的な負荷が下がります。
不合格だったときの立て直し
英検は合否が出るぶん、落ちたときのダメージが大きい試験です。ただ、成績表には技能ごとのスコアが出ます。ここを使わない手はありません。
- どの技能で落としたかを特定する。4技能のうち、明らかに低いものが1つあるはずです
- そこだけを2週間集中してやる。全部やり直す必要はありません
- 合格ラインとの差を数字で見る。あと何点かが分かると、必要な努力量が具体的になります
とくに多いのが、ライティングで大きく落としているパターンです。ここは型を覚えるだけで一気に改善するので、次回の伸びしろとしては一番大きい。
語彙で落としている場合は時間がかかります。ここは短期では埋まらないので、次の回ではなく、その次を狙うくらいの計画にしたほうが現実的です。
どちらを受けるべきか
| 目的 | おすすめ |
|---|---|
| 大学入試で優遇を狙う | 英検(2級・準1級) |
| 就職活動でアピールしたい | TOEIC(企業が見慣れているのはこちら) |
| 話す力も証明したい | 英検、または TOEIC S&W |
| 実力の変化を細かく測りたい | TOEIC(スコアなので変化が見える) |
| 語彙を体系的に増やしたい | 英検(級別に範囲が決まっている) |
両方受けるのも十分にありです。英検で語彙とライティングを鍛えて、TOEIC でスコアを示す、という組み合わせは無駄がありません。
まとめ
- 英検は4技能+語彙の深さ、TOEIC はビジネス場面の聞く・読む。目的で選ぶ
- 2級から準1級の差が大きい。語彙数が1.5倍近くになる
- 一次試験はライティングから対策するのがコスパがいい。型が決まっている
- 語彙は級別の単語帳を1冊やり切る
- 面接で減点されるのは間違いではなく沈黙。時間を稼ぐ表現を用意する
- 意見に正解はない。説明しやすいほうを選んでいい
- 面接練習は録音して聞き返すだけでも十分に効果がある