TOEICリスニング Part1〜4 攻略:先読み・ディクテーション・公式問題集の使い倒し方
リスニングは、正しい順番でやれば一番伸ばしやすいパートです。読めば分かる文が聞くと分からないなら、それは英語力の問題ではなく音の処理の問題だからです(発音をやると聞き取れるようになる理由)。この記事では、Part1〜4それぞれの攻め方と、僕が実際にやったディクテーションと公式問題集の反復のやり方をまとめます。
まず、リスニングの構成を頭に入れる
| パート | 内容 | 問題数 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Part1 | 写真描写 | 6問 | 選択肢が印刷されていない。表現のパターンが決まっている |
| Part2 | 応答問題 | 25問 | 選択肢が印刷されていない。最初の1〜2語が命 |
| Part3 | 会話 | 39問 | 設問が印刷されている。先読みが効く |
| Part4 | 説明文 | 30問 | 設問が印刷されている。先読みが効く |
ここで大事なのは、Part1・2は選択肢が紙にないという点です。目で追えないので、耳だけで勝負するしかない。逆に Part3・4 は設問が印刷されているので、読む戦略が使えます。攻め方がまったく違います。
Part1:出る表現が決まっている
6問しかないので配点上の比重は小さいのですが、ここで落とすと立ち上がりのリズムが崩れます。Part1 は出る表現の型がかなり限られているので、先に知っておくだけで取れます。
よく出る型
| 型 | 例 | 意味 |
|---|---|---|
| 人が主語+現在進行形 | She is reaching for a book. | 本に手を伸ばしている |
| 物が主語+受動態 | The chairs are arranged in a row. | 椅子が一列に並べられている |
| 物が主語+現在進行形の受動態 | A document is being copied. | 今まさにコピーされている最中 |
| 存在を表す | There are some boxes on the floor. | 床に箱がいくつかある |
とくに注意したいのが3番目の is being + 過去分詞 です。これは「今まさに誰かがその動作をしている最中」を表すので、写真に人が写っていなければほぼ不正解になります。逆に「are arranged(並べられた状態)」は人がいなくても成立します。この区別だけで1問取れることがあります。
ひっかけのパターン
- 写真に写っている単語を使った別の文:写真にコピー機があるからといって copy を含む選択肢が正解とは限らない
- 音が似た語:copy / coffee、walking / working、glasses / grasses
- やりすぎた説明:写真から判断できない情報(「会議に遅れている」など)が入っていたら不正解
Part2:最初の1〜2語で勝負が決まる
25問と数が多く、実は一番差がつくパートです。選択肢が印刷されていないので、集中力が切れた瞬間に落ちます。
最重要は、問いかけの最初の1〜2語を絶対に聞き逃さないことです。
| 出だし | 聞かれていること | ありえない答え |
|---|---|---|
| Where | 場所 | Yes / No |
| When | 時 | Yes / No |
| Who | 人 | Yes / No |
| Why | 理由 | Yes / No |
| How much / How long | 量・期間 | Yes / No |
| Do / Does / Did / Is / Are | Yes・No で答えられる | — |
疑問詞で始まったら Yes / No は絶対に正解になりません。これだけで選択肢が1つ消えることが頻繁にあります。
ただし「直接答えない」応答が正解になる
近年の TOEIC で難しいのはここです。When is the report due? に対して Friday. と素直に答える問題ばかりではなく、I haven't checked yet.(まだ確認していない)のような答えが正解になります。
「質問に正面から答えていないから不正解」と判断すると落とします。会話として自然に噛み合っていれば正解、という基準で聞いてください。
Part2 のひっかけ
- 音が似た語:question の中の quest、file と while など
- 同じ単語の繰り返し:問いかけに出てきた単語がそのまま選択肢にあるときは、むしろ疑う
- 連想でつながる語:meeting と聞いた直後の conference room など
Part3・4:先読みがすべて
ここは39問+30問でリスニング100問中の69問を占めます。ここの戦略がスコアを決めます。
先読みとは何か
音声が流れる前に、設問(と可能なら選択肢)に目を通しておくことです。何を聞かれるか分かった状態で聞くのと、聞き終わってから設問を読むのとでは、負荷がまったく違います。
タイミングはこうです。
- Part3 の説明(Directions)が読まれているあいだに、最初のセットの設問を読む
- 音声が流れているあいだに答えをマークする
- 設問が読み上げられているあいだ(ここが空き時間)に、次のセットの設問を読む
ポイントは3つ目です。設問の読み上げ音声は、紙を読める人にとっては情報がありません。ここを次の先読みに使うと、常に1セット先を読んでいる状態を作れます。
設問のどこを見るか
全文を読む時間はありません。疑問詞と、固有名詞・数字だけ拾います。
| 設問の型 | 聞くべきポイント |
|---|---|
| What is the conversation mainly about? | 冒頭。会話の目的は最初の2〜3文で言われる |
| Where most likely are the speakers? | 場所を示す単語(boarding, checkout, prescription など) |
| What will the man do next? | 最後。会話の終盤にヒントが出る |
| What does the woman suggest? | 提案表現(Why don't you / You should / How about)の直後 |
「次に何をするか」を問う設問は必ず終盤に答えがあります。設問の順番と、音声で情報が出てくる順番はほぼ一致するので、1問目は前半、3問目は後半、と当たりをつけて聞けます。
意図問題・図表問題
What does the man mean when he says, "..."? のような意図問題は、引用された文だけを聞いても解けません。その前後の流れで判断します。先読みの段階で引用部分を頭に入れておいて、その表現が聞こえた瞬間に前後に集中するのが現実的です。
図表問題(Look at the graphic)は、音声で読み上げられない側の情報が答えになります。表に「価格」と「商品名」があり、音声で価格を言ったなら、答えは商品名です。先読みで表の見出しだけ確認しておきます。
聞き取れない原因は、単語を知らないことではない
ここからは練習法です。
僕がリスニングで詰まっていたとき、パターンはいつも同じでした。聞く → 分からない → スクリプトを見る → 「知ってる単語じゃん」となる。
つまり問題は語彙ではなく、音と文字が結びついていないことでした。英語は書いてある通りには読まれません。落としていたのはこの3つです。
| 現象 | 何が起きるか | 例 |
|---|---|---|
| 連結 | 語尾の子音と次の語の母音がつながる | check it out → チェッキラウ |
| 脱落 | 語尾の t / d / p などがほぼ鳴らない | next day → ネクスデイ |
| 弱形 | 前置詞・冠詞・代名詞が極端に弱く速くなる | for → ファ、can → クン |
とくに弱形が厄介です。can と can't を聞き分けられないという相談をよく見ますが、これは can がほとんど「クン」としか鳴らないのに対して、can't は「キャント」とはっきり強く読まれるためです。強く聞こえたら否定、というのが実用的な目安になります。弱形とリズムの話もあわせて読むと腑に落ちます。
ディクテーション:最初にやるべき地味な練習
僕が最初の時期にやったのがディクテーションです。音声を止めながら、聞こえた通りに書き取る。地味で、しんどくて、効きました。
やり方
- 短い音声(30秒程度)を選ぶ。Part3 の会話1つ分で十分
- 1文ずつ再生して止め、聞こえたとおりに書く。分からない部分は空欄のままにする
- もう一度聞いて、埋められるところを埋める。これを3回まで
- スクリプトと突き合わせて、赤で直す
- 直した部分を意識しながら、もう一度音声を聞く
なぜ効くのか
ディクテーションのいいところは、自分がどこを落としているかが物理的に見えることです。聞き流しでは「なんとなく分からなかった」で終わりますが、書き取ると空欄の位置がはっきり残ります。
そして多くの場合、空欄になるのは難しい単語ではなく、a / the / of / for / to のような小さい語です。これに気づけると、「自分は語彙が足りないのではなく、音の処理ができていない」と正しく診断できます。
ただし時間がかかるので、ずっと続ける練習ではありません。最初の2〜3週間、耳が英語の速度に慣れるまでの立ち上げとして使うのが現実的です。
公式問題集を「聞き取れるまで」繰り返す
耳が慣れてからは、公式問題集をひたすら繰り返しました。ここでのポイントは、1回解いて終わりにしないことです。
- まず本番と同じ条件で解く(止めない・戻らない)
- 答え合わせをする
- 間違えた問題のスクリプトを読み、なぜ聞き取れなかったのかを特定する(知らない単語か、音の変化か、集中が切れたか)
- スクリプトを見ずにもう一度聞く。全部聞き取れるまで繰り返す
4つ目が肝です。1回解いて次の問題集に行くと、教材は一瞬で尽きます。同じ音声を「聞き取れるようになるまで」聞くと、1冊が何十時間分にもなる。新しい問題集を買うより、手元の音声を何度も聞くほうが圧倒的にコスパが良かったというのが、僕の実感です。
公式問題集を使う理由もここにあります。音声とナレーターが本番と同じなので、他の教材で慣れても再現できない速度と声質に、事前に耳を合わせられます(実際にどう使ったか)。
シャドーイングを足すなら
ディクテーションで音の変化に気づき、公式問題集で量をこなしたら、次はシャドーイングです。音声を追いかけて、少し遅れて声に出す練習です。
- 内容を理解する:スクリプトを読んで意味と単語を確認する。意味の分からない音声を追いかけても効果は薄い
- 音を確認する:スクリプトを見ながら音声を聞き、連結や脱落が起きている箇所に印をつける
- スクリプトを見ながら声に出す(オーバーラッピング):音声とぴったり重ねる
- スクリプトを外して追いかける:これが本来のシャドーイング
- 録音して聞き返す:自分が飛ばしている箇所が分かる
いきなり4番から始めて挫折する人が多いので、順番を守るのが大事です。同じ素材を1週間くらい使い続けて構いません。
本番でのふるまい
- 分からない問題を引きずらない。リスニングは音声が止まってくれません。1問迷っているあいだに次の設問が始まり、連鎖的に落とします。迷ったらマークして即座に切り替える
- 先読みを優先する。マークが間に合わなくても、次のセットの設問を読むほうが得点期待値は高い
- Part1・2で集中を使い切らない。本番はPart3・4が本番。前半で消耗しないペース配分を意識する
まとめ
- Part1・2は耳だけの勝負、Part3・4は先読みという読む戦略が効く。攻め方が違う
- Part2は疑問詞で始まったらYes / No は不正解。ただし直接答えない応答は正解になる
- Part3・4は設問の読み上げ時間を使って常に1セット先を読む
- 聞き取れない原因は語彙ではなく連結・脱落・弱形。ディクテーションで可視化する
- 公式問題集は聞き取れるまで繰り返す。新しい教材を買うより効果的だった
- シャドーイングは理解 → 音の確認 → 重ねる → 追いかける → 録音の順で