発音・英会話

発音の教科書:発音記号・母音・L/R・録音セルフチェック

公開日: 2026-07-18|文: Yaya

発音の練習は「話すため」だけのものだと思われがちですが、実際にはリスニングのための投資でもあります。自分で出せない音は、聞き取れないからです(リスニングの練習法はこちら)。この記事では、発音記号の読み方から、日本人がつまずく母音とL/R、そして自分の発音を録音して直す手順までを、ひととおり通せる形でまとめます。

なぜ発音をやると聞き取れるようになるのか

英語を聞いていて「知っている単語なのに聞き取れない」経験は誰にでもあります。その原因の多くは、頭の中の音と、実際の音がズレていることです。

たとえば water を「ウォーター」と記憶している人は、実際の「ワラ」に近い音を聞いても water だと認識できません。自分の中の音の見本が違うので、照合に失敗するわけです。

発音練習は、この音の見本を作り直す作業です。だから「話す予定はないから発音はいい」という判断は、リスニングのスコアを考えると損をしています。

発音記号は「読める」だけでいい

発音記号を全部覚える必要はありません。辞書を引いたときに音が分かるレベルで十分です。

日本語にない、要注意の母音

記号音のイメージ日本人がやりがちな誤り
/æ/「ア」と「エ」の中間。口を横に広げるcat, bad, map「ア」で発音して cut と混ざる
/ʌ/短く鋭い「ア」。口はあまり開けないcut, bus, love「ア」を伸ばしすぎる
/ɑː/口を大きく開けた長い「アー」father, calm
/ə/あいまい母音。力を抜いた「ア」about, sofa の下線部はっきり発音してしまう
/iː/ と /ɪ/長い「イー」と、短く緩い「イ」eat / it, sheep / ship両方とも「イ」にしてしまう

日本語にない子音

記号出し方
/θ/舌先を軽く歯にあてて息を出す(無声)think, three, month
/ð/同じ位置で声を出す(有声)this, that, they
/f/ /v/下唇に上の歯を軽くあてるfine, very
/l/ /r/次の章で詳しくlight, right
/ŋ/鼻に抜ける「ング」sing, thinking

アクセント記号のほうが実は重要

英語は強く読む位置がずれると通じません。日本語は音の高低で区別しますが、英語は強弱です。

  • hoTEL(ホル)— 後ろが強い
  • PHOtograph / phoTOgrapher — 語形が変わるとアクセントも動く
  • 名詞と動詞でアクセントが変わる語:REcord(記録)/reCORD(記録する)

単語を覚えるときは、意味と一緒にどこを強く読むかも覚えてください(単語の覚え方)。ここを外すと、正しい音を出していても伝わらないことがあります。

カタカナ英語から抜ける:母音の意識を変える

日本語の発音が英語で通じにくい最大の理由は、すべての子音に母音がついてしまうことです。

英語カタカナ発音何が起きているか
strike /straɪk/ス・ト・ラ・イ・ク(5拍)子音の連続に母音を挟んでいる。英語では1拍
desk /desk/デ・ス・ク(3拍)語尾の k のあとに「ウ」を足している
milk /mɪlk/ミ・ル・ク(3拍)同上

意識すべきは、語尾の子音に母音をつけないことです。desk は「デスク」ではなく「デスk」。最後の k は息を止めるだけで、音を出し切らない感覚に近い。

あいまい母音 /ə/ を使えるようにする

英語は強く読む音と弱く読む音の差が大きい言語です。弱く読まれる音の多くは、あいまい母音 /ə/ になります。

  • about → アウト(最初の a は「ア」というより力の抜けた音)
  • banana → バーナ(1つ目と3つ目の a が弱い)
  • for, to, of, can などの機能語は、文中ではほぼ /ə/ になる

全部の音をはっきり発音すると、逆に英語らしく聞こえません。抜くところを抜くのが、通じる発音の近道です。

L と R:舌がどこにあるか

日本人が最後まで苦労するのがここです。ポイントは、音を似せようとするのではなく、舌の位置を決めることです。

舌の位置コツ
/l/舌先を上の前歯の裏の付け根にしっかりつけるつけたまま声を出す。「ル」ではなく、舌をつけた状態を作るのが先
/r/舌先をどこにもつけない。奥に引いて丸める唇を少し前に突き出す。「ウ」の口の形から始めると出しやすい

日本語の「ラ行」は、舌先が上あごを一瞬だけ弾く音で、L でも R でもありません。だから「ライト」と言っても light にも right にもならない。ここを理解するのが最初の一歩です。

/l/ 舌先をつける上の前歯の裏の付け根に密着/r/ どこにもつけない奥に引いて丸める。唇は少し前に
音を似せようとするより、舌をどこに置くかを決めるほうが速い。

練習の順番

  1. 単独で出す:L は舌をつける、R はつけない。鏡を見ながら確認する
  2. 語頭で練習:light / right, lead / read, low / row
  3. 語中・語末で練習:collect / correct, file / fire
  4. 子音の直後で練習(最難関):play / pray, glass / grass
  5. 文の中で:The library is on the right.

語末の L(call, well, still)は、舌をつけたまま終わります。「コール」と母音で終わらせず、舌を上につけた状態で止めるのが正解です。

録音して自分の発音を客観視する

ここが発音練習でいちばん効率のいいパートです。自分の発音は、頭の中では正しく聞こえています。録音すると、それが幻想だと分かります。

手順

  1. お手本を1文選ぶ。教材の音声でも、アプリの読み上げでもいい
  2. お手本を聞く。どこを強く読んでいるか、どこがつながっているかを確認する
  3. 自分の声を録音する。スマホのボイスメモで十分
  4. お手本 → 自分 → お手本の順で聞き比べる。連続で聞くのがポイント
  5. ズレている場所を1つだけ選んで直す。全部直そうとすると続かない
  6. 直した状態でもう一度録音して、変化を確認する

聞き比べるときのチェックポイント

観点よくあるズレ
リズム全部の語を同じ強さで読んでいる。英語は強弱の波がある
スピード強く読む語だけゆっくり、弱い語は速い。これが再現できていない
語尾子音のあとに母音を足している(desk が「デスク」)
つながり語と語を区切って読んでいる。check it out がつながっていない
アクセント強く読む位置が違う

毎日やる必要はありません。週に1〜2回、1文だけでも、続けると確実に変わります。うまくいかない日でも、録音が残っていれば1か月前と比べられます。

EigoNote には収録語の読み上げ(アメリカ英語・イギリス英語を切り替え可能)と、単語帳での録音機能があります。お手本を聞いて、その場で自分の声を録って聞き比べるところまで、アプリの中で完結します。

文のリズム:英語は等間隔で強く読む

単語の発音が正しくても英語らしく聞こえない場合、原因はリズムです。

日本語はすべての音をほぼ同じ長さで並べます。「わたしはがっこうにいきます」は、どの音もだいたい同じ長さです。一方の英語は、強く読む語の間隔がほぼ等間隔になるように、弱い語を圧縮します。

たとえばこの文。

I WANT to GO to the STAtion.

強く読まれるのは WANT / GO / STA の3か所だけで、to / the はほとんど聞こえません。この3拍のあいだに、残りの語が押し込まれます。だから to the が「タダ」のようにまとまって聞こえるわけです。

強く読まれる語・読まれない語

品詞
強く読む(内容語)名詞・動詞・形容詞・副詞・疑問詞report, submit, important, quickly, where
弱く読む(機能語)冠詞・前置詞・代名詞・be動詞・助動詞・接続詞a, the, to, of, for, he, is, can, and

この区別を意識するだけで、話すときも聞くときも変わります。聞き取れなかった部分は、たいてい機能語です。そして機能語は文の意味をほとんど左右しないので、聞き取れなくても内容は取れる——この割り切りができると、リスニングの負荷が一気に下がります(先読みと組み合わせる)。

文末のイントネーション

  • 下げる:普通の文、疑問詞で始まる質問(Where is the office? ↘)
  • 上げる:Yes / No で答える質問(Are you ready? ↗)
  • 上げてから下げる:選択を聞くとき(Coffee ↗ or tea? ↘)

TOEIC の Part2 では、この上がり下がりが答えを絞るヒントになります。文末が上がっていれば Yes / No で答えられる質問、という判断ができるからです。

アメリカ英語とイギリス英語、どちらで練習するか

結論としてはどちらでも構いません。ただし、混ぜないほうが最初は楽です。

アメリカ英語イギリス英語
語中の twater が「ワラ」に近い(弾音化)water の t をはっきり出す
語末・子音前の rcar, park の r を発音するほとんど発音しない
can't「キャント」「カーント」
scheduleスケジュールシェジュール

TOEIC のリスニングにはアメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアの話者が登場します。つまり本番では避けられません。ただ、練習の段階で複数を混ぜると基準が定まらないので、まずは1つに決めて、慣れてから他を足すのが現実的です。

4週間の練習プラン

やることが多く見えるので、順番を決めておきます。1日15分で組めます。

やること目安
1週目発音記号を読めるようにする。とくに /æ/ /ʌ/ /ə/ /iː/ /ɪ/ の区別辞書を引くたびに記号を確認する
2週目L と R。単独 → 語頭 → 語中 → 子音の直後の順で1日5分、鏡を見ながら
3週目語尾に母音をつけない練習。単語カードを音読するdesk, milk, strike など
4週目文のリズム。1文選んで録音・聞き比べ週2回、1文だけ

4週間で完成はしません。ただ、何をどう直せばいいかが自分で分かる状態にはなります。そこから先は、リスニングの練習をしながら少しずつ修正していけます。

どこまでやればいいのか

ネイティブと同じ発音を目指す必要はありません。目標はこの2つで十分です。

  • 通じること:アクセントの位置と、L/R・/θ/ のような意味が変わる音を外さない(会話で止まらないための準備
  • 聞き取れるようになること:自分で出せる音は、聞いても認識できる

実際、TOEIC を含む多くの試験では発音そのものは採点されません。それでも発音をやる価値があるのは、リスニングへの効果が大きいからです。話すためではなく、聞くための練習だと考えると、優先順位をつけやすくなります。

まとめ

  • 発音練習はリスニングへの投資。自分で出せない音は聞き取れない
  • 発音記号は覚えるのではなく読めればいい。/æ/ /ʌ/ /ə/ と /iː/ /ɪ/ の区別が重要
  • アクセントの位置を単語と一緒に覚える。ここを外すと通じない
  • カタカナ発音の原因は子音に母音をつけること。語尾を出し切らない
  • L は舌をつける、R はつけない。音ではなく舌の位置で覚える
  • 録音して聞き比べる。直すのは毎回1か所だけ

EigoNoteで発音を聞いて録音する(無料)

Y
Yaya

国際学部の大学生。TOEIC は大学1年のIPテストで450点、会場受験で540点。大学2年でオーストラリアに4か月留学し、現地で英語を話しながら空き時間にTOEIC対策を続けて、帰国後に795点。いま900点を目指して勉強中です。そのときに「先に知っておきたかったこと」を EigoNote にまとめています。

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